2019年1月24日発売(ハッピーミール)
現代に蘇ったファミコン風アドベンチャーゲーム
日本を代表するRPG・ドラゴンクエストの生みの親である堀井雄二氏が
ドラクエ以前にシナリオを手掛けた「ポートピア連続殺人事件」や「オホーツクに消ゆ」などのコマンド式アドベンチャーゲーム。
いずれも本ブログで紹介するほど私が一番好きなだったジャンルとして熱く語っていたにも関わらず時代の流れとともに廃れていきました。
そしてすれ違うかのようにただテキストを読むだけのビジュアルノベル形式のアドベンチャーが台頭し、現代では珍しくなくなりましたが私はゲームと思ってないのでプレイを避けていました。
「もっとコマンド式アドベンチャーを遊びたい!」
このような願望をブログに書いた私の想いが通じたのか、
数十年の時を経てド直球を投げてきたのが今回のファミコン風アドベンチャーゲーム「ミステリー案内」シリーズなのです!
ニンテンドースイッチだけでなく後にPS4でもリリースされました。
Illustrated by Kiyokazu Arai
©Happymeal Inc.
伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠のストーリー
東京の上野の公園で浮浪者の変死体が発見された。
死体からは鍵が見つかり、該当する場所で鍵を開けると黒真珠の入った巾着袋を発見する。
インターネットで検索すると伊勢志摩近辺の業者に手掛かりの可能性があり、あなたは後輩刑事のケンを連れ三重へと向かった。
そして伊勢志摩を舞台に新たな事件が開幕する…。
伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠のキャラクター
開明寺ケン
正義感は強いが性格が軽くお調子者のところもある後輩刑事。
ゲームでは彼に命令して事件の捜査を進めていくことになる。

浜宮真珠の創業者の孫娘。
東京の美大でデザインを勉強している。

珠美の幼馴染。
雑誌編集のバイトで伊勢を訪れた。
この他にも多くの人物が事件に関わってきます。
キャラクターのグラフィックにはファミコン版「オホーツクに消ゆ」と同様に新井清和氏が担当してるのでやはり当時を思わせるタッチの面影が残っています。
伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠のシステム
前述したとおり、このゲームは1980年代後半あたりに当時の任天堂の家庭用ゲーム機であるファミリーコンピュータ(ファミコン)で活躍していた「コマンド式アドベンチャーゲーム」のテイストをそのまま流用しています。
「ばしょいどう」を選ぶと捜査する場所を移動したり、「きけ」で近くにいる人から話を聞くことができ、各コマンドを適宜選択して殺人事件の捜査を進めていきます。
ただ、昔のアドベンチャーゲームと明らかに違うのは「スマホをつかえ」があることです。
ゲームはファミコンテイストといっても舞台は現代に近く、スマホを使うことでほとんどの場所から電話はできますし、わからないことはインターネットで検索して調べることができます。
そして近年のゲームに比べればいささか稚拙な印象を受けるかもしれませんが、ドット絵で描き込まれたグラフィックはどことなく深い味わいがあります。
あえてファミコンに近い性能にあわせ、限られた同時色数などでキャラクターや日本の観光地などを一つ一つ丁寧に美しく描いています。
夜には居酒屋で食事をして一日の捜査が終了します。
ファミコン時代のアドベンチャーゲームのほとんどは日付や時間の概念が薄い印象でしたが、このゲームでは一日が終了すれば次の章へと進み、状況が変化したり進展します。
(※ゲーム内に時間制限があるわけではありません。)
上野で発見された被害者に対する犯人の動機は?
あなたは刑事となって伊勢・志摩に赴き事件の全貌を解明します!
伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠の感想
項目 | 評価(5点満点) |
---|---|
システム | ★★★★★ |
熱中性 | ★★★★ |
キャラクター | ★★★ |
音楽 | ★★★★ |
難易度のバランス | ★★★★ |
私のようにファミコン時代にコマンド式アドベンチャーを遊んでた世代には同様の面白さや懐かしさが感じられ、
逆にそれを知らない若い世代の方にも今では絶滅しかけてるこのジャンル(とくに事件物)は未経験で非常に珍しく感じるでしょうし低価格で遊べるというのも魅力だと思います。
少なからず思い出補正があるのは否定しませんが、テンポよく進むので何をしていいかわからなくて投げ出すようなことはなく、むしろ会話の聴き逃しなどで正解フラグを踏んでないと場所移動ができない場面があるなど難易度は同ジャンルではかなり易しいです。
ゲーム終盤には「オホーツクに消ゆ」のような見た目3Dダンジョンのような場所がありますが、頭の中で構造を理解できるくらいのレベルなのでそれも心配はいりません。
ただ、昔の事件物のアドベンチャーと大きく違うのは
・インターネットで検索ができる
・歌が流れる
というところです。
まずゲーム中のBGMに関してはファミコン同様、PSGによる音楽や効果音が使用され、マニュアル画面やエンディングなどでは主題歌が流れます。
この主題歌も1980年代から90年代に放送されてたサスペンス2時間ドラマ「火曜サスペンス劇場」や「土曜ワイド劇場」において事件解決後に哀愁漂い流れてくるエンディング主題歌をイメージしたテイストの曲なので制作側の熱意が伝わってきます。
さらにサスペンスドラマではお約束のサービスシーンもありました。
ただ、ゲームはファミコン風といってもストーリーの設定は現代なので、ゲーム内で携帯電話もインターネットも使えてしまうのは歴史的衝撃のことで、こうした事件物のアドベンチャーにおいてそれらを導入するというの「禁じ手」のような印象を受けました。
昔は不明な証拠品や場所を調べる為にあちこち足を運んで色々な人に話を聞いて少しずつ捜査が進むのですが、検索することで次の手掛かりがすぐにわかるというのが時代の流れを感じさせます。
おそらくこういうところがゲームを少なからず簡単にしているのでしょうが、実際の事件の捜査も技術の進歩で昔よりはいくらスムーズになってると思うので頑なに否定することはできません…。
ただ、もし昔のアドベンチャーゲームがリメイクされて携帯電話やインターネットがその場で使えたらもはやゲームとして成立しなくなってしまうものもありそうです(苦笑)。
「伊勢志摩ミステリー案内 偽りの黒真珠」では自然な形で携帯電話やインターネットを使用しているので実際の捜査上で悪影響はなく、ストーリーはこのジャンルのファンの期待を裏切らないしっかりとした作りになっています。
発売された2019年当時でもゲーム市場のど真ん中にいたニンテンドースイッチやPS4であえてファミコン風としてこのジャンルを復活させたことに意義があると思います。
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